質問取りのシステムはどうなっているかというと、いくつかパターンはあるんだけど多いのは、まず内閣に「内閣参事官室」っていうのがあって、ここが国会議員(質問予定者)にアポをとって実際に足を運んで質問を教えてもらいに行く。この「内閣参事官室(通称:ないさんしつ)」が全省庁(ないしは必要な省庁)に「待機」をかける。それを受けて、各省の「大臣官房総務課」(省によっては違うところもあるかも)が省内全部局に「待機」をかける。それを受けて各部局の総務課がその部局内の各課室に「待機」をかける。そんなふうにして霞が関の全職員に待機がかかる。
ところが、「まあ、たぶんうちに対する質問は出ないよ」っていうことがある。たとえば「財政・金融の安定化に関する総理大臣演説に対する代表質問」とかは、当然、総理府や大蔵省に関する質問が大量に出ることは予測されても、他の省に関する質問は少ないだろうし、各省にあっても財政や金融と全く関係のない部局にはまず質問は出ない。そんなときは、各省の大臣官房総務課の判断で、または省内の各部局の総務課の判断で、「待機」を「連絡待機」(連絡解除ともいう)に変更したりする。「連絡待機」っていうのは「連絡できる態勢を整えて待機」っていう意味で、早い話が連絡できるようにしてくれれば(いるところの電話番号を教えるとか)帰っていいよってこと。
でも、これは「連絡待機」をかける立場の課の責任においてかけるわけだから、ちょっと恐い。それに連絡待機をかける立場の課は(それはその課が勝手にやってることだから)当然、待機し続けなきゃならない。万が一、連絡待機をかけた後で、質問があたっちゃったりなんかしたら、電話で呼び出してすぐに答弁資料を作ってもらわなきゃいけない。
ちなみに僕は今、某省の某部局の総務課にいて、実はその部局内に「待機」やら「連絡待機」やらをかける立場にある。何百人かの人たちを夜中まで無駄に待たせておくのも悪いなあと思う。かといって「連絡待機」にしても、自分は帰れるわけではないし、そのあとで質問があたるのもこわい。質問があたって、速やかに対応できなかったら上の人に怒られるしね。なかなか葛藤の日々だ。でも、部局内の職員の人たちにとっては僕が待機をかけてる張本人だし、みんな「まだ待機なんですかー?」とか頻繁に電話をかけてくる。勘弁してくれよー。僕も帰りたいんだよ、ねえ。まあ、それでも最近は図太くなって、以前よりは結構早めに「連絡待機」にするようになったけど(たぶんそれでもみんなは「遅い!」って思ってるんだろうなぁ)。
そんなこんなで、国会の会期中は夜が遅くなってしまう。「解除」になればいいんだけど、そうでなければ普通の職員はその部局の総務課が「連絡待機」にするまで。各部局の総務課は、大臣官房総務課が「連絡待機」にするまで。各省の大臣官房総務課は、内閣参事官室が「連絡待機」にするまで、帰れない。それで、遅いときには夜中の3時とかまでただバカみたいに待っていなきゃいけなかったりする。
他にも、月曜日に委員会があるときなんかは、土、日の間ずっと「連絡待機」で自宅にいなければいけなかったり、役所に出てこなきゃいけなかったり、ひどいもんだ。なんだか追い立てられてる気分で、家にいても休まらないときもある。うーん。
まあ、質問があたらなければまだいいんだけど、これで質問があたっちゃったら大変だ。その夜中に答弁資料を作って、偉い人たちの了解を得て、(場合によっては次の朝早く)大臣にレクチャーをしなければいけない。めったにないけどすごくスムーズに済んでも夜12時すぎ、普通はだいたい3時か4時くらい。ひどいと泊まりっていうことになる。
まあ国会っていうのは大変だ。
その国会、会期は通常国会が150日。それに加えて臨時国会っていうのがあるから、だいたい一年間の3分の2くらいは国会をやってることになる。で、国会会期中は原則的に毎日待機がかかる。そうやって労働時間が増えてくわけね。
【1998-2000:内から見た霞ヶ関の最新記事】

